液体外核と下部マントルの境界。この境界で地震波のP波速度に大きな不連続があり、S波は外核中では伝わらない。地震波速度構造からは、マントル最深部の厚さ200kmの領域に、地震波速度の不連続面、地震波速度が著しく小さい領域(超低速度領域)、地震波速度の伝わり方が方位によって異なる(異方性 anisotropy)などの特徴がある。マントル最深部の200kmの厚さの領域をD"層(ディーダブルプライム層)と呼ぶことがある。マントル対流モデルによると、この領域は熱境界層に相当していると考えられており、プルーム状のマントル上昇流の発生場所でもある。また、沈み込んだプレートがマントル最深部に横たわっているという解釈もある。最近の高温高圧実験によって、マントル最深部に近い温度圧力下で下部マントルを構成するペロブスカイトと呼ばれる鉱物が相転移して、さらに高圧下で安定な新鉱物(ポストペロブスカイト相)になることが明らかになった。D"層における物質の相転移は、マントルの上昇流や下降流に大きな影響を与えるものと考えられる。