地球表層における炭素原子の循環システムのこと。炭素は、二酸化炭素、メタン、有機物などの形で地球表層に存在している。有機物は、陸上植物や海洋生物体を形成しているが、死後遺骸は分解されたり一部が地中に埋没し、土壌や有機質泥岩になる。植物の成長によって大気中の二酸化炭素は生物圏へと固定されるが、秋の落葉や生物の死滅によって有機物は分解して二酸化炭素に戻るため、短い時間スケールでは炭素循環は定常的な状態にある。ところが、過去40万年間の氷期と間氷期のような長い時間スケールでみると、大気中の二酸化炭素濃度が190ppmvから280ppmvの間で変動しており(ppmv ; 体積率百万分の一)、氷床の消長をともなう気候変動とあいまって、大気中の二酸化炭素濃度が変動してきたことが明らかにされている。こうした変動には、海洋表層で繁殖したプランクトンが餌として動物体に取り込まれ、糞(ペレット)として深海底へと運ばれるプロセスが重要な役割を果たしていると考えられている。また、大気中の二酸化炭素は、海洋で炭酸塩岩が形成されることで岩石としても固定される。