地球が受け取る太陽放射エネルギーの変動にみられる周期性。地軸の傾き角や地球の公転軌道の円からのずれが時間的に変化することによって引き起こされる。木星や土星などの引力が原因。セルビアの地球物理学者M.ミランコビッチが天体力学的計算を行って北緯65度における日射量の変動を求めた。その変動曲線に2.3万年、4.1万年、約10万年の周期性が存在している。1970年代に海洋底堆積物に記録された気候変動にこうした周期成分が発見されて注目された。ミランコビッチ・サイクルにみられる10万年周期の変動の振幅が小さいにもかかわらず、第四紀の気候変動では10万年周期の氷期と間氷期の繰り返しが顕著であり、こうした不一致は10万年周期の謎と呼ばれている。気候システムに弱い日射変動を増幅するしくみがあるものと考えられている。ミランコビッチ・サイクルは、氷期と間氷期の繰り返しのタイミングを規定する要因であることから、気候変動のペースメーカーとみなされている。