海洋微生物による表層海水から深層海水への炭素の輸送のこと。栄養塩類に富んだ海域では光合成微生物が繁殖し、海水中に溶け込んだ二酸化炭素を有機物へと変化させている。植物プランクトンは、動物プランクトンの餌になったり、魚類など海洋動物に捕食され、動物の糞として海水中を沈降していく。これをマリンスノー(marine snow)という。沈降した有機物は、深層海水中で微生物によって分解されたり、そのまま海洋底へと堆積していく。氷期と間氷期の繰り返しの中で、大気中の二酸化炭素濃度を大きく変動させるメカニズムとして、南氷洋でのバイオポンプの役割が注目されている。なぜ氷期にバイオポンプが活発になって大気中の二酸化炭素濃度を下げるのかはまだ明らかになっていないが、最近になって、氷期に硝酸塩などの栄養塩類が増えたことを示唆するデータが提示されている。