生物の進化が地球環境と密接にかかわってきたとする地球史観。約40億年前に発生した生命は、化学合成や光合成、酸素呼吸などのしくみを獲得し、やがて多細胞生物へと進化していった。こうした生物の進化が大激変ともいうべき地球環境の変遷によって促されてきた。たとえば、8億年前から6億年前にあった大規模な地球の寒冷化の直後に大型の多細胞動物の出現とその適応放散が起こった。約2億5000万年前には、海洋が酸素欠乏状態になり、古生代に繁栄した多くの海棲無脊椎動物が絶滅し、アンモナイトや恐竜などの中生代に繁栄した生物へと移り変わっていった。また、6500万年前の白亜紀末には直径10kmの小惑星が地球に激突し、恐竜などが死に絶え、その後ほ乳類が発展した。こうした事件は、環境変動によって生物の絶滅や進化が引き起こされる例である。その一方で、地球生命が始めた光合成反応によって、大気や海洋は酸素の乏しい嫌気的な環境から酸素の豊富な好気的な環境へと移り変わり、それが酸素呼吸をする生物の繁栄をもたらした。