太陽の進化モデルによると、形成してまもないころの太陽光度は現在の70%程度しかなかった。太陽の明るさは地質時代を通じて徐々に大きくなってきた。現在の大気中には二酸化炭素は360ppmv(ppmv ; 体積率百万分の一)しか存在しないので、太陽光度が数%低下しただけで地球全体が凍結してしまうと見積もられた。ところが地質学的証拠によると38億年前から現在まで海が存在しており、地球表面全体が凍結するような事態にはほとんど陥らなかった。太陽進化モデルと海が凍結しなかったという地質学的証拠は一見矛盾していることから暗い太陽パラドックスと呼ばれるようになった。太陽光度が低下していたにもかかわらず海が凍結しなかった理由として、二酸化炭素のような温室効果ガスが豊富にあったとする説が提案されている。しかし、近年、初期地球大気の主要温室効果ガスがメタンガスであったのではないかという考えが注目されるようになってきた。この説によると24億年前ごろに大気中の酸素濃度が増加したことで、メタンガスの濃度が低下し、23億年前に地球表面が全面的に凍結するほど気候が寒冷化したことになる。