これまでに発見されている細胞状の化石で最古のものは西オーストラリアのピルバラ地域のものである。それより古い生命の痕跡は、約38億年前の西グリーンランドのイスア地域およびアキリア地域のものである。西グリーンランドでは岩石の変成度が高いため、生物体起源とされる有機物はグラファイト(石墨)になってしまっている。1995年アメリカの研究者は採集した岩石に含まれるグラファイトの炭素同位体比を測定し、その値がマイナス40‰(パーミル 千分の一)を超える大きな負の値を示すことを明らかにし、グラファイトが生物体起源であると論じた。最近になって、炭素同位体比の分析が行われた岩石が採集された地域の地質調査が行われ、これまで堆積岩であるとされていた変成岩が火成岩起源である可能性が指摘された。もし、火成岩起源であるとすればグラファイトは無機的にできたものであり、炭素同位体比の値はグラファイトが生物体起源であるという結論をくつがえすことになる。一方、西オーストラリアのピルバラ地域の細胞状の化石も無機的鉱物であるとする解釈が提示され、新たな論争になっている。