遺伝物質が膜で覆われた核の中に存在することなどで特徴づけられる細胞をもった真核生物には、我々人類をはじめとする多細胞動物、高等植物、菌類や原生生物がふくまれる。真核生物は原核生物から進化してきたと考えられる。化石記録としては、より大きく複雑な細胞をもつことなどを根拠に、直径2cmほどの渦巻き状の形をもったグリパニア(約19億年)や細胞を覆う膜に複雑な分岐や膨らみのみられる単細胞の化石(約16億年前)などがある。最近シドニー大学のブロックスらは真核生物の細胞内の膜構造に特有なステロールが変質したステランと呼ばれる有機化合物をオーストラリアの27億年前の地層中から見いだし、真核生物の記録を一挙に10億年近くも更新した。