19世紀の終わりにアメリカの古生物学者・ウォルコットが発見したカナダのバージェス頁岩から産出する動物化石群。カンブリア紀になると硬骨格をもった動物化石がたくさん登場するが、5億2000万年前のバージェス頁岩や5億3000万年前の中国雲南省澄江(チェンジャン)周辺の地層からは硬骨格をもたない多様な動物化石が産出することで注目を集めている。1960年代からイギリスのウイッチントンらによって化石の見直し作業が行われ、グールドの著書『ワンダフル・ライフ』で有名になった。ウイッチントンは、バージェス頁岩動物群に関する一連の研究で京都国際賞を受賞している。バージェス頁岩からは有名なアノマロカリス、オパビニア、ネクトカリスなどの化石が産出するが、澄江からは新たな化石も次々と発見されており、最近になって魚類の祖先と考えられる化石が複数発見されている。カンブリア紀以降、骨格をもつ動物の化石が多産するようになるが、バージェス頁岩動物群のような骨格をもたない動物の化石は発見されなくなる。堆積環境が特殊だったのか、それらが化石として残っていること自体、大きな謎につつまれている。