地球上部マントルで、地震波速度や密度が急激に増加する深度400~660kmの領域のこと。ここでは、マントルを構成する鉱物が、高圧下で安定な構造に相転移しており、地震波速度や密度にジャンプ(急激な増加)がみられる。深さ400km付近では、かんらん石が変形スピネル(ワズレアイト)という鉱物に相転移している。520kmの深度になると、変形スピネルはさらにスピネル(リングウッダイト)という鉱物に転移する。660kmではスピネルはペロブスカイトという鉱物に転移している。相転移の起こる条件は、温度と圧力の関係で決まっており、マントルの温度が相対的に高い場所と低い場所で、相転移の起こる深さが異なっている。これらの相転移では、地震波速度が急激に変化するので、これらの相転移面で地震波は屈折したり、反射したりする。このことを利用して、相転移面の深さの場所による違いが調べられている。660kmの不連続面は、下部マントルから上昇してきた物質が上部マントルに流れ込んだり、沈み込んだスラブが下部マントルに貫入するのを妨げるはたらきがあるため、上部マントルと下部マントルは混合しにくくなっている。