地球磁場の影響が及ぶ範囲のこと。磁気圏内では、圏内に存在するプラズマ(荷電した原子、分子や電子の集まり)の運動は地球磁場に支配されている。地球磁気圏の外側には、太陽風プラズマの領域があり、その境界は明瞭で磁気圏界面と呼ばれている。磁気圏界面の太陽側は衝撃波面となっており、ボウショック(bow shock)と呼ばれており、その位置は地球半径の10倍のところにある。一方、太陽と反対側の磁気圏界面は尾を引くように細長くなびいており、磁気圏尾(magnetotail)と呼ばれている。磁気圏尾における磁場の向きは北半球と南半球で逆になっており、赤道付近では磁場が弱くなり、この領域には高温プラズマが存在している。これまでに、あけぼの、ポーラー、ジオテイル、クラスター衛星などの磁気圏探査衛星が打ち上げられている。これらの衛星の観測によると、地球磁気圏には、地球から宇宙空間へ向かって、プロトンや酸素イオンなどからなるエネルギーの低い低温プラズマが流れ出していることが明らかにされている。こうしたプラズマの流れは、従来考えられていたよりも大きなものであり、地球大気の宇宙空間への散逸における重要なメカニズムの一つである。