ニッケルの含有量が高い鉱石を産する鉱床。ニッケルはマグマが固化するときに、最初に晶出する結晶に含まれる傾向がある。分化したマグマやマグマ性の熱水からは沈殿しない。マグマ性の鉱床は、マグマの不混和によって分離した硫化物に富んだマグマが結晶化して生成される。大規模なニッケル鉱床としては、カナダのサドベリー鉱山が有名。サドベリーは約19億年前の大規模天体衝突によってできた衝突構造であるが、そこへ大規模なマグマが貫入し、ニッケル鉱床を生成させた。ニッケルは衝突した天体に由来するものではない。ニッケル鉱床は、太古代のコマチアイトなどの塩基性マグマの固化でも生成されている。一方、ニッケルに富んだ火成岩が熱帯気候下で風化作用を受けると、風化残留鉱床としてニッケル鉱床が形成される。こうした鉱床は、ニューカレドニア、インドネシア、フィリピンなどにみられる。インドネシアのニッケル鉱床は、政府が輸出禁止を打ち出したことで、ニュースになった。ニッケルはステンレス鋼、磁性体、メッキ触媒などに利用されている。