2012年9月21日に発見された新彗星。発見時には木星周回軌道付近にあり、明るさは19等級であった。この彗星の軌道が計算され、13年12月には、太陽に187万キロの距離まで接近する。こうした太陽近傍に近づく彗星はサングレーザーと呼ばれている。13年11月には肉眼彗星となり、12月上旬には満月ぐらいの明るさになるのではないかといわれており、実際そうなれば史上まれにみる大彗星となる。史上最大の彗星は1680年のキルヒ彗星が知られているが、それを上回る明るさとなる可能性がある。彗星は「汚れた雪球」といわれるように、水、アンモニア、メタンなどからなる氷に微小なケイ酸塩鉱物を含む天体である。彗星の固体部分は彗星核とよばれ、大きさが数キロメートルから数十キロメートル程度の小天体であるが、太陽に接近すると、激しく氷が昇華し、コマとよばれる大気をまとい、それが太陽風に吹き流されて希薄で長い尾(テール)をなびかせる。尾は中性のガスや塵(ちり)からなるが、太陽風に含まれる荷電粒子と衝突してイオン化するものもあり、イオン粒子の流れがつくるイオンテールと、中性のガスや塵がつくるテールと2本に分かれてみえることもある。また、太陽に近づくと、潮汐力や激しい加熱によって、彗星核がいくつもの破片に分裂することもある。こうした予想外の変化もみられるため、彗星の明るさ予測は不確定な要素となり、実際どのくらいの明るさになるかは、わからない。