炭化水素を構成単位とするテルペンという有機化合物を含む植物樹脂が化石となったもの。揮発成分が抜けて硬く、また黄褐色など美しい色を持つので宝石として珍重される。真珠とともに、生物が関与して作られる数少ない宝石の一つ。真珠の主成分は炭酸カルシウムであるが、琥珀はほとんどが有機物でできている。ヨーロッパではバルト海沿岸が主な産地。日本では、福島県久慈市から産出する白亜紀のものが有名。ヨーロッパでは、1万2000年より前の旧石器時代の遺跡から加工されないものが発見され、中石器時代 (1万2000~8000年前)になると細工が施された琥珀が知られている。日本でも縄文時代早期以降、各地で琥珀製品が発見されている。琥珀は、新石器時代(8000年前)以降交易されているが、中央アメリカのベリーズのマヤの16世紀末の遺跡ではバルト海沿岸産のものが見つかるなど、琥珀が魅力ある宝石として広く交易の対象となっていたことが示される。