地球近傍天体(NEO)が地球に衝突する確率と、衝突のエネルギーに基づく予測被害状況を示す尺度で、マサチューセッツ工科大学のビンゼル教授が提案したもの。尺度は10段階に分けられる。尺度0は、衝突した天体が大気中で燃えつきるか、落下しても被害を与える可能性がないものである。尺度1は、地球の近くを通過するもので衝突する可能性があると予測されるが、衝突しても被害が小さいとされる。最近の事例では、2008年10月に地球に衝突した直径2メートルの小惑星(2008 TC3)がある。この小惑星は発見から1日後にスーダンに落下した。小惑星は空中で分解し、280個からなる隕石約4キログラムが回収された。この隕石はアルマハータ・シッタ隕石と名づけられ、エコンドライトの1種であるユレイライトに分類された。尺度2~4では、天文学者が注意を促すに値する天体で、地球に接近する可能性が高く、望遠鏡による観測によって、軌道の予測精度の向上が必要とされる。衝突までの期間が10年を切っている場合には、公共機関からの注意の喚起がなされる。尺度5~8は、地域的な被害が予想される大規模な衝突である。衝突する天体の大きさも100メートルを超え、衝突エネルギーも100メガトン以上になる。近接接近か衝突が起こるか観測の強化が必要とされる。尺度8~10では、衝突が確実に起きるケースである。尺度8では50年から数千年に1回程度、尺度9では、1万年から10万年に1回程度、尺度10では10万年に1回かそれ以下の確率である。陸での衝突では衝突地点に被害が集中するが、海洋で衝突が起きれば巨大な津波が発生し、被害が広範囲に及ぶ危険がある。250万年前のエルタニン衝突事件(Eltanin impact)では、直径0.8~4キロメートルの小惑星が南氷洋に落下し、巨大な津波が太平洋沿岸を襲っている。