福井県三方郡にある湖。三方五湖の一つ。水月湖の湖底から採取された堆積物コアには明瞭な縞模様が認められ、年縞(varve)と呼ばれてきた。堆積物の縞模様は、春と秋の珪藻の大繁殖による白っぽい層の堆積で特徴づけられるため、樹木の年輪のように1年ごとの編年が可能となる。堆積物には、火山灰層や1662年の地震によるイベントや湖水組成の変化などが記録されており、古環境を記録した記録テープとして研究者によって注目されてきた。1662年の地震では、日本海に近い下流側の岩盤が隆起して湖周辺が水没したため、新たに水路を開いて排水した。その結果、それまで淡水だった湖が汽水環境へと変化している。湖底堆積物の縞模様は過去5万2800年までさかのぼって編年が可能であり、放射性の炭素14の測定が行われ、炭素同位体比を用いた年代測定において、世界の標準時計とみなされるようになった。