塩化ナトリウムからなる地層や岩石で、海水や湖水が干上がったときに沈殿してできたもの。蒸発岩(evaporite)の1種。地殻変動によって海底の一部が隆起し、大量の海水が陸上に閉じ込められて干上がった後に、海水中の塩分が堆積してできる。この場合は、海水中にある硫酸イオンなどが含まれるので、石膏、硬石膏などを伴う。カンブリア紀以降、地質時代には大規模な蒸発岩の形成があり、ドイツ、アメリカ、オーストラリアなど、世界各地に岩塩の鉱山がある。ペルム紀後期には超大陸パンゲアが形成され、乾燥気候帯が広がって大規模な岩塩層が形成された。また、700万年前には、ジブラルタル海峡が隆起し、地中海が閉ざされて干上がった事件(メッシニア塩分危機事件)があり、地中海とその周辺に大規模な蒸発岩層が形成された。このように、大規模な岩塩層の形成には、地球史における大規模な環境変動に伴ったものもある。現在の地球でも、内陸の乾燥気候下の塩湖で、湖水が干上がって岩塩が形成されている。アメリカのデスバレー、ボリビアのウニユ湖、オーストラリアのハート湖などにみられる。