石油、天然ガス、金属、レアメタル、リンなどの資源が大規模に濃集している場所。採掘される物質の種類によって、金属と非金属に分けられる。鉱床としての価値は採算がとれるかどうかであり、資源価格が高騰すれば新たに鉱床として採掘されることがあるが、その一方で、鉱石が枯渇したり、採掘が困難になったり、採算が合わなくなって廃坑になるものもある。採掘が行われている鉱床は鉱山(mine)と呼ばれている。鉱床にはさまざまな成因があり、成因によっても分類されている。マグマが結晶化していく過程で、特定の元素が濃縮してできる鉱床には、正マグマ鉱床(orthomagmatic deposit)、ペグマタイト鉱床(pegmatite deposit)などがある。マグマに由来する熱水やマグマと地下水が反応してできた熱水が岩脈状に入り込んで、溶けていた元素が沈殿してできる熱水鉱床(hydrothermal deposit)もあり、鹿児島県の菱刈鉱山は、高品位の金の鉱石が産することで有名である。鉱床の形成にはテクトニクスも関係しており、日本列島のような沈み込み帯では、斑岩銅鉱床(porphyry copper deposit)とよばれる花崗岩質マグマの貫入に伴って形成された大規模な鉱床が存在する。また、玄武岩質の火山岩類に付随して形成された層状の硫化鉄鉱床があり、層状含銅硫化鉄鉱床(キースラーガー)と呼ばれている。また、花崗岩質マグマによって石灰岩体が熱変成作用を受けたところでは、スカルン鉱床(skarn deposit)が形成されている。東北日本では新第三紀に海底火山活動が活発で、グリーンタフと呼ばれる緑色凝灰岩が広く分布しており、黒鉱と呼ばれる鉱床を伴う。このほか、海外では熱帯における風化の残留物として形成された酸化アルミニウム鉱床(ボーキサイト、bauxite)や、野鳥のふんが蓄積してできたグアノ(guano)と呼ばれるリン鉱床など生物起源の鉱床もある。