古生代の末期には、大陸は一つに集まってパンゲア大陸(Pangea)が形成されていたが、北に位置するローラシア大陸(Laurussia)と南に位置するゴンドワナ大陸(Gondwana)の間には大陸に囲まれた巨大な海洋が存在していた。この海洋をテーチス海という。ネオテーチス海(Neo-Tethys)と呼ばれることもある。ローラシア大陸は、北アメリカ、ヨーロッパ、バルト楯状地、シベリア楯状地などで構成され、ゴンドワナ大陸は、アフリカ、南アメリカ、オーストラリア、インド亜大陸、南極大陸などで構成されていた。テーチス海はアルプス-ヒマラヤ造山運動によって消滅したが、その名残はこの造山帯を構成する山岳地帯に海成層が存在することから示唆された。テーチス海という名前は、オーストリアの地質学者エドワード・ジュースによって、ギリシャ神話の海の神の名前をとってつけられた。大陸移動の歴史を調べると、テーチス海の形成の前に古テーチス海(Paleo Tethys)ともいうべき海洋が、カンブリア紀からデボン紀にかけて、ローラシア大陸とゴンドワナ大陸の間に存在していたと考えられている。オルドビス紀にゴンドワナ大陸の縁で海洋底が拡大しはじめ、それがテーチス海となって古テーチス海は閉じていき、古テーチス海とテーチス海の間にあった島弧はペルム紀にはローラシアと衝突して消滅し、パンゲア大陸が成立した。