77万年前から12万6000年前までの第四紀更新世中期を示す地質時代の名称として、使用される確実視されている地質時代名。千葉県の地層の研究に基づいて、新たな地質時代名として提案された。46億年の地球の歴史は、大きな事件や生物の変遷に基づいて、多くの地質時代に区分されている。人類が飛躍的に進化した時代は、第四紀と呼ばれ、285万8000年前から現在までの期間が含まれており、1万1900年以降は完新世、それ以前は更新世と呼ばれている。更新世は前期、中期、後期に分けられているが、77万年前から12万6000年前までの更新世中期をチバニアンと呼ぶことになる。地球の歴史はそれぞれの時代に堆積した地層として記録されている。地質時代の境界は、国際標準模式地と呼ばれる。その時代を代表する地層を模式地として認定し、地球の歴史を研究する基準に使われる。
更新世中期がチバニアンと呼ばれる可能性が高まった背景には、千葉セクションと呼ばれる千葉県市原市に分布する地層に、77万年前の地球的規模の出来事が記録されていて、それ以前の時代との区分が明確であったことによる。その出来事とは、地球磁場の逆転である。地球磁場は、棒磁石が作るような形の磁場、すなわち双極子磁場であり、地球磁場にはN極とS極がある。地球磁場の極性は、過去360万年間に11回逆転、すなわちN極とS極が入れ替わる出来事が繰り返し起こっている。更新世中期の始まりはこうした地球磁場の逆転現象における最後の逆転である松山‐ブリュンヌ逆転が起こった時点とすることに決まっていた。地磁気の逆転史によると、チバニアン以降現在まではブリュンヌ期と呼ばれていて、その極性は現在と同じである。それ以前の更新世前期カラブリアンは、地球磁場の極性が現在とは反対になっており、松山期と呼ばれている。「チバニアン」の名称の正式決定には、今後、国際地質科学連合の委員会や理事会で承認される必要があり、その結果が出るのは2018年内になる見通し。国際標準模式地は、世界で65カ所以上あるが、その大半は地質学が誕生した舞台であるヨーロッパに多い。これまで日本にはなかったこともあり、注目を集めている。