恐竜の系統分類学の研究で提案された新たな恐竜の分類群の名称。2017年3月にイギリスのケンブリッジ大学の古生物学者マシュー、G. バロン博士らの研究グループが、恐竜の分類や初期進化に関して、過去130年間にわたって通説とされてきた学説を覆す新説を発表し、古生物学会を騒然とさせた。バロン博士らは、74種類の恐竜について、形態的な特徴を457項目とりあげ、それらの類似性をコンピュータで解析して新たな分類体系を求めた。これまでは、恐竜は骨盤の形態に基づいて、竜盤目と鳥盤目に大別され、竜盤目には竜脚形類と獣脚類が含まれていたが、バロン博士らの新しい系統樹では、これらの二つは恐竜進化の初期の段階で枝分かれしたものと考えられた。この新しい系統樹では獣脚類と鳥盤類が近縁とされ、新たなグループとして「オルニトスケリダ(Ornithoscelida)」という分類名が提案された。この説では、獣脚類のティラノサウルスと鳥盤類のトリケラトプスが近縁であることとなり、恐竜の研究者からは戸惑いの声も多く聞かれている。