1937(昭和12)年から1947(昭和22)年まで小学校5年生用の国定国語教科書に掲載された津波の逸話。高台に住む庄屋の五兵衛が、積み重ねた稲束に火をつけて村人を呼び寄せ、津波から避難させた物語で、小泉八雲の「生ける神」が原作。最初に潮が引く話となっているが、最初から潮が上がる津波もあるので注意したい。五兵衛のモデルは、紀州有田郡広村(和歌山県広川町)の濱口梧陵で、地震後、私財を投じて高さ5~6m、長さ600mの防波堤を作り上げた。この防波堤は 1946年昭和南海地震による津波から町の中心部を守ったが、防波堤外に作られた中学校や紡績工場で、主に県外からの住民22人が死亡した。