震源域の中で、強い揺れを起こす部分、あるいは地震時に大きくずれる部分。両者は、マグニチュード(M)7程度では一致するが、M9.0の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)では全く異なっていた。このため、強い揺れを起こす部分を強震動生成域などと呼び、アスペリティという呼称は避けるようになってきた。東北地方太平洋沖地震ではプレート境界の深部、すなわち沿岸域に強震動生成域が4~5個程度見いだされた。一般に震源域全体の約2割程度の面積を占める。強震動生成域の周辺は揺れが大きくなるので、地震の被害も大きくなると予測される。一方、地震時に大きくずれる部分は、大地震から次の大地震まで固着している部分であり、固着域と呼ばれる。この部分が破壊して大地震となる。東北地方太平洋沖地震では、プレート境界の浅部の海溝付近が50メートル以上もずれ、地震発生前約600年間固着していたと考えられる。