火山体の一部が大規模に崩壊する現象。とくに成層火山は、火山活動によって急峻な地形が形成されるが、このような斜面は不安定であり、熱水作用による変質や風化などを受けてもろくなった火山体の一部が、地震動や噴火活動が引き金になって大規模に崩壊する。1888年磐梯山や1980年アメリカのセント・ヘレンズ山などが有名。セント・ヘレンズ山の場合は、山体崩壊によってマグマを押しつけていた重みが急激に減少したため、ほぼ同時に大規模な噴火が発生した。どちらの火山でも山容(山の形)は、山体崩壊によって大きく変化した。小規模な山体崩壊でも、岩屑なだれとよばれる、岩屑が粉体(空気)によって運搬される流れが発生し、高速で大量の岩屑(がんせつ)が山麓斜面を駆け下るため、甚大な被害を発生させる。大規模な山体崩壊は、長い火山の一生でもわずかにしか発生しないが、小規模な山体崩壊は複数回発生する。これらは極めて大規模な災害を引き起こすことになる。