断層や断層帯の中で、近年、大地震が起こっていない領域、もしくは、大地震の前に地震活動が低下した領域。プレートや一連の断層帯の中で、地震活動が不活発で、震源分布に隙間がある領域は、将来、隙間を埋めるような地震が発生すると予想される。こうした領域を第一種空白域と呼ぶ。通常の地震活動がある領域で、発生する地震数が低下することがあるが、このような地震活動の低下現象は、地震活動の静穏化と呼ばれる。地震活動が静穏化した地域で、その後、大きな地震が発生するという現象が見られるため、こうした地域は第二種空白域と呼ばれる。長期的にはプレート運動によるひずみが、プレート境界やプレート内で蓄積され、地震を伴って解消されることを繰り返すために、地震空白域の概念は地震の中長期予測にとっては重要である。しかしながら、地震観測によって得られる情報は、断層の活動間隔に比べてごく短い期間のものであることや、プレート内に蓄積された力がどのように解放されているかという情報が不足しており、地震空白域の評価については、さらなる研究が必要である。