2014年9月27日11時52分に発生した、長野県と岐阜県の県境に位置する御獄山(標高3067メートル)の噴火。噴煙高度は7000メートルに達し、降灰が見られたほか、山頂部付近では噴石などが降下し、小規模な火砕流も発生した。噴出物からはマグマ物質は検出されず、地下の水蒸気の圧力が高まって発生する水蒸気噴火であった。歴史的に見ると御嶽山の噴火活動は低調で、1979年の水蒸気噴火は、有史以来、初めての噴火であった。2014年9月10日以降、火山性地震が顕著となり、翌11日に最高(85回/日)となったが、その後、減少。再び火山性微動が観測されたのは噴火の10分前であった。噴火は秋の好天の土曜日の昼に発生したため、多くの登山者が噴火に遭遇した。死者57人、行方不明6人で1926年の十勝岳の噴火以来、最悪の死者数となった。警察・消防・自衛隊による救助・行方不明者の捜索活動は、1000人規模で2014年10月16日まで続けられた。2011年東北地方太平洋沖地震の発生によって、東北地方を中心に地殻に作用する力が変化し、火山噴火の起きやすい環境になっている。今回の噴火によって水蒸気爆発の噴火予知の難しさが再認識される結果となったが、甚大な被害を契機として、観測・警報体制の強化がより一層進行することとなった。