桜島は鹿児島湾北部の姶良カルデラの南縁に位置する安山岩~デイサイト質の火山である。世界的に最も活発な火山の一つで、広範な観測が行われている。2015年8月15日に、火山性地震が活発化するとともに山体膨張を示す急激な変化が観測され、噴火警戒レベル4(避難準備)に引き上げられた。これに伴って、鹿児島市の対象地域の51世帯の住民が避難した。9月1日には火山活動が以前の状態にもどり、マグマ浅部の上昇が停止したとして、レベル3(入山規制)に引き下げられた。火山活動は16年も同様のレベルにあった。桜島火山では、1779~82年の安永噴火、1914年の大正噴火など、有史時代でも大規模な噴火を繰り返してきた。大正噴火で放出されたマグマ噴出量は、15億立方メートルと推定され、現在のマグマ蓄積量が継続すると130年かかるという研究成果が報告されている。大規模な噴火の可能性も含めて、引き続き観測・防災対策の充実が必要とされている。