阿蘇山は九州中央部に位置する大規模な火山で、東西17キロ、南北25キロのカルデラを伴い、世界的にも最も活動が活発な火山の一つである。有史以降の火山噴火は中央火口丘群の中岳で発生してきた。中岳は玄武岩から安山岩質の成層火山である。20世紀以降でも、1953年(死者6人)、58年(12人)、79年(3人)と犠牲者を伴う噴火が発生してきた。2016年10月8日、阿蘇山中岳第一火口で爆発的噴火が発生した。爆発的噴火は1980年以来36年ぶりで、火口から1キロを超える範囲まで大きな噴石が飛散し、気象庁は同日、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げた。噴煙は高度1万1000 メートルまで観測され、降灰は熊本・大分県のほか、愛媛・香川県にまで及んだ。この噴火は、マグマと水が反応して発生するマグマ水蒸気爆発であった。その後、火山活動は沈静化に向かい、16年12月20日には警戒レベルが3から2に引き下げられた。