海洋の内部構造は意外にわかっていない。世界の海の水温や塩分の分布をリアルタイムで見ることが重要である。従来の海洋の観測は係留ブイによるところが多く、しかも赤道地域に限られていて、全地球的な観測にはほど遠かった。アルゴフロート(Argo Profiling Float)は固定されず、普段は水深2000m付近を漂い、約10日ごとに海面へ浮上する。そのときに水温と塩分を観測したデータを衛星に送信し、また沈むことを繰り返す。このアルゴフロートを全世界規模で展開するプロジェクトがアルゴ計画で、2000年にスタートした。世界の15カ国・地域が参加しており、07年に3000本のフロートの展開が完成した。約300km平均間隔(緯度・経度にして約3度ごと)で海洋の構造を観測する予定。日本では、国土交通省の気象庁と海上保安庁、文部科学省の海洋研究開発機構が参画している。なお、アルゴとは、ギリシャ神話でイアソンという勇者が金毛羊皮を手に入れる冒険談があるが、彼が乗った船の名前である。