水深5000mより深い帯状の地形。5000mまでには達しない帯状のくぼみはトラフ(trough)という。海溝ではプレートが衝突している。重たい海洋プレートは軽い大陸プレートの下へ沈み込んでいく。1920年代、和達清夫は日本海溝の軸からロシアの沿海州の下700km付近にかけて斜めに薄い板状に分布する深発地震の震源分布を発見した。後にアメリカのH.ベニオフが、他の海溝でも同様のことを発見したため、この震源分布の板を和達・ベニオフ面(帯)と呼ぶようになった。沈み込む海洋プレートに引きずり込まれる上盤の大陸プレートの下部で時折、破壊が起こってはね上がる時に地震が発生し、そのエネルギーは大きいので津波の原因となる。また、沈み込む海洋プレートの上面が深さ90~150kmに達する範囲で、温度・圧力条件の変化から水が放出されて周辺の岩石の融点が下がり、岩石が溶けてマグマが生成され、それが地表まで達して噴出し、多くの活火山を形成する。したがって、一般的に沈み込み帯は地震帯、火山帯、それに横圧力による造山帯を伴う島弧‐海溝系を形成する。世界に約30ほどの海溝が知られているが、その分布は西太平洋に多い。大西洋には中米のプエルトリコ海溝と南米の南サンドウィッチ海溝の二つがある。日本列島周辺には千島、日本海溝、伊豆・小笠原、マリアナ、ヤップ、パラオ等の海溝が太平洋に面しており、駿河、南海、琉球、フィリピンなどの海溝はフィリピン海に面している。