黒鉱(鉛や亜鉛)、黄鉱(黄鉄鉱や黄銅鉱)、白鉱(石膏)、珪鉱(シリカ鉱物)からなる鉱床で、理想的な場合はそれらが層序を持つ。東北日本には第三紀中新世の火山岩にともなって黒鉱鉱床が産出する。南北に延びた幅20kmほどの細長い溝状の構造に沿って分布しており「黒鉱ベルト」と呼ばれている。東北日本の十和田湖の南西にある北鹿地域では海底熱水性堆積鉱床である小坂鉱山など多くの黒鉱鉱床が掘られた。その同位体組成から現在の海底熱水鉱床と類似しており、細長く伸びた水深の深い凹地に酸性の火山岩にともなって形成されたと考えられている。1983年に黒鉱鉱床と現在の海底の熱水との比較が行われ、伊豆・小笠原弧から熱水鉱床が発見される可能性が予測された。伊豆・小笠原弧では石英安山岩の岩体が近くにあって北鹿の黒鉱の産状と類似している。実際、最近になってベヨネーズ海丘の白嶺鉱床など有望な鉱床が発見された。