大気圏での大気の移動(風)、および海洋での海水の移動(海流)にともなう大気と海水の循環系のこと。地球の大気は、低緯度では太陽の日射により強く熱せられて上昇し、高緯度では冷えて下降する。高空では低緯度から高緯度に向かい、低空では高緯度から低緯度に戻る大循環系を形成するはずであるが、地球は自転をしているので、流体には転向力であるコリオリの力が働くため、大気大循環は北半球と南半球とで対称ないくつかの風系に分帯される。表層の海流系は、この風系に影響されていくつかに分帯される。風は西から吹く場合に「西風」といい、一方、海流は東に向かって流れる場合に「東流」というので、逆向きの名が付くことに注意すべきである。風系と海流系は密接に対応する。人工衛星による同時観測により、表面海流の動きはよく把握されている。例えば、ヒマラヤでは、冬は冷却され、重たく乾燥して高気圧となった北東季節風がインド洋を吹きわたり、一方、夏は熱せられて上昇風を生じ、低気圧となり、湿った南西季節風がインド洋を吹きわたるので、この付近では海流の向きも逆となる場所がある。