最終氷期は、ヨーロッパではウルム氷期、北米ではウィスコンシン氷期と呼ばれる。全球的に大陸氷床が最も増大したのは1.8万~2万年前ごろで、世界の海水準は現在のそれよりも約120~140m低下した。その後、気候は急速に温暖化に転じ、大陸氷床は縮小を始め、海水準も上昇を続けた。約1.3万年前ごろ、溶けて縮小する北米大陸氷床の南に形成されたアガシー湖の水位が上がり、東方の堤が決壊して短期間に大量の冷たい淡水が北大西洋に流出・拡散したため、海洋大循環のコンベアベルトは一時的に動きを止めた。北大西洋で、浅層水によってもたらされ大気中に放出されていた熱源が消失したため、北大西洋周辺の気候は寒冷化し、氷床は増加し、全球的にもその影響を受けて小氷期となった。これをヤンガードライアス期(ドライアスとは北極圏の低木に咲く花)という。それも約1万年前には終結し、海洋大循環は再び現状に戻り、全球的に気候は安定を保っている。