海洋底の拡大と大陸の離合集散は、過去に何回も繰り返されたらしいことがわかってきた。これをトランスフォーム断層の提唱者であるカナダの地球物理学者J.T.ウィルソンにちなんで「ウィルソン・サイクル」という。まず、超大陸が分裂を開始する。分裂の原因は、主としてマントルプルームによる熱によって引き裂かれたとする考えがある。引き裂かれた大陸(リフト)は、現在の東アフリカのリフトのように淡水湖の列ができる。リフトがつづくとやがて海洋地殻が形成され拡大に転じて、陸上には海水が入ってきてアデン湾や紅海のようになり、ついには大西洋のような海になる。大陸を乗せたプレートは沈み込み帯に運ばれ、ほとんどが沈み込む。沈み込みがつづくと、軽い大陸プレート同士が衝突して造山帯を形成する。ヒマラヤ山脈はそうした場所の一つである。ついには沈み込み帯に大陸が寄せ集まって、一つの超大陸になる。「パンゲア」以前にも「ロディニア」が存在していたことが提案されている。