日本のほぼ中央の太平洋側に位置する湾。日本の湾はおおむね水深が100m以浅であるが、富山湾、駿河湾、そして相模湾だけが水深1000mを超える深海を持つ。それはこれら3つの湾の中をプレートの境界が通っているからである。相模湾は地形的に西部、中部、東部に区分される。西部は海底火山活動、中部は河川からの堆積物の集積、東部は活断層で特徴付けられる。湾の中の地形は複雑であるが、浅海と深海が同居するという特徴がある。そのため浅い海に住む生物も深い海に住む生物も存在する。相模湾の底には多くの活断層が走っており、そこからしみ出す化学物質を基調にする化学合成生物群集が存在する。相模湾内には黒潮、親潮、沿岸水さらに相模川、酒匂(さかわ)川などの河川水が入っている。そのために生物を養う栄養素であるプランクトンが多く発生している。相模湾に多様な生物が存在する理由は、地形、海流、火山活動、断層運動などが起こるためである。