太平洋の中央にある、浮遊するごみの集積域。2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震の折の津波で流されたバレーボールがアメリカに打ち上げられて、人の手を介して日本へ戻されたように、がれきは太平洋を渡ってアメリカまで漂着している。3月11日の津波の直後、このようながれきがやがてハワイを経由してアメリカにまで到達することは予測された。太平洋のごみが遠くアメリカにまで漂うことは、1988年にアラスカの研究者によって予測され、人工衛星のデータからごみの集積域が海流によって集まることが指摘された。アメリカのアルガリタ海洋研究財団のチャールズ・ムーア船長は、トランスパシフィックヨットレースの折に実際に莫大なごみを目撃し、特定の海流、たとえば黒潮などに支配されている地域に高濃度の海洋のごみが集中することを示唆していた。島崎藤村の詩「椰子(やし)の実」のヤシもそうである。アメリカの海洋学者のエベス・メイヤーは、北太平洋還流が関係する海域を東ごみ集積地(Eastern Garbage Patch;EGP)と名づけた。同様のごみの集積地は大西洋にも存在する。