アメリカの地球科学者のブロッカーが提案した、海洋の表層の海流と深層の底層水とをつなぐ海水の地球規模での大循環のこと。北西大西洋のグリーンランドの近くの海域では海水の温度が下がって海氷が形成される。氷には塩分は入らないので周辺の海水は塩分が高くなるが、塩分の高い海水は周辺の海水より密度が大きいので海水中を沈降していく。海底に達するとその海水は大西洋中央海嶺に沿って南下し、やがて南極にまで到達する。南極のウェッデル海でも同様に冷たく重たい水が海底に達している。それらの水は合流して北へと移動し、太平洋に入っていく。移動しながら海水の温度は少しずつ上がってきて浅部へと上昇し、やがて表面の海流と一緒になって循環してグリーンランドの近くへ戻る。このように海水は塩分と熱を全海洋に分配しながら地球を一巡している。その循環に要する年代は炭素同位体によっておよそ2000年とされている。つまり、海水は2000年で地球を一周している。