深海に横たわる平坦な平原のこと。太平洋では広大な面積を占めており、陸上の平原とはくらべものにならないほど大きい。平坦なのは、表面が浸食でできたものではなく砂や泥が堆積してできたものだからである。深海平原は一般的には陸から遠く離れているために、陸起源の堆積物は海溝に遮断されて届かない。ここにたまる堆積物は生物の遺骸である。また、風によって運ばれたエオリアンとよばれる風成堆積物や細かい粘土鉱物、テクタイトとよばれる宇宙からばらまかれてきた細かいガラス質な粒子などがたまっている。太平洋の場合、プランクトンなどの死骸のうち炭酸カルシウムの殻でできたものは、およそ4000メートル以上の深さになると溶けてしまうので、水深の深い海では多くが珪酸の殻をもった放散虫が沈殿している。深海平原の堆積物は、イギリスの調査船、チャレンジャー号による19世紀後半の航海の折に初めて明らかにされた。赤茶けた粘土が主体で、深海底には酸素に富んだ深層水が循環しているために、堆積物が酸化されてこのような色になる。また、堆積物の表面にはマンガン団塊が転がっている。海底の表面は初めはマグマが流れて固まった玄武岩でできていて比較的でこぼこした地形をしているが、時間が経つにつれて堆積物に覆われてやがて平坦になっていく。