海水の化学組成は、平均的にはナトリウム(Na)と塩素(Cl)でほぼ90%を占めている。ほかに硫黄、マグネシウム、カルシウム、カリウム、炭素、臭素があり、それで海水の99%を占める。これらの元素が海水中に滞留する時間は大いに異なるため、海水の組成は海ができてから現在までに大きく変化してきた。地球に最初に誕生した海はマグマオーシャンで、高温のマグマの海であったのでこれは海水ではない。海の水の組成は、どちらかというと火山ガスの成分に近く、初めは塩からくはなかった。海の水が塩からくなるのは、陸が浸食されて岩石から放出されたナトリウムが川によって運ばれて海に入るためである。大陸ができた初期の地球から、海水は徐々に塩からくなっていった。海水の組成のうち、塩分(NaCl)は海域によって異なる。蒸発作用が大きい熱帯地域や氷ができやすい極域など、海水から塩分が取り除かれずに残るような海域は、塩分が高い。蒸発する水や凍る水は真水なので、水が蒸発したり凍ったりした分だけ塩分は濃くなる。逆に塩分が薄くなる場所は、大河が海に流れ込む河口に近い場所である。塩分以外にも近くに火山活動があるような場合には、火山活動によって塩酸や硫酸が増えたり、特定の金属元素が増えたりする。