日本海に存在する他の海とは異なった独特の海水のこと。日本海を潜水調査船で潜航すると、表層300メートルを超えると水温が1℃以下と極端に低くなるが、それより深いところでもあまり大きく変化しないことがわかる。反対側の太平洋では沖を流れる黒潮の影響で水深500メートルくらいでも水温は十数℃である。日本海の水温は0~0.5℃、塩分は3.41%くらいで一定している。日本海の固有水は水深300メートルから最深部の3685メートルで一定しており、独立した一つの水塊を形成している。日本海の周辺の海峡は水深が200メートルくらいと浅く、その深さでは外洋との海水の交換が行われるが、日本海の固有水は深さ300メートル以深ではほとんど混ざることがないので、外洋との海水の交換がほとんど行われない。これは冬季に日本海北部で著しく冷却された水が沖合にまで運ばれ、日本海の海底へと沈降していくためである。海中を沈降していく海水の塩分はほかの海に比べて高い。これはグリーンランドの周辺など海氷ができるような海域で海水の塩分が高くなり、それが海底へ沈んでいく現象と似ている。逆に浅海では淡水が塩分の濃い海水の上に乗っかってひろがっているために淡水魚が生息できるような条件になっている。