東京下町の町工場などが共同開発した無人の深海探査シャトルビークル。東京都葛飾区の杉野ゴム化学工業所の杉野行雄社長が、東大阪の中小企業の人工衛星「まいど1号」の打ち上げ成功に刺激を受け、江戸っ子の心意気を表そうと宇宙に対し深海への挑戦を発案したプロジェクトで、これに賛同した町工場の人々が4年がかりで開発を行い、3台を完成させた。2013年11月21日から23日にかけての試験運航では、房総半島沖約200キロメートルの海域で、水深4090メートル、7860メートル、7816メートルの海底に投下され、24日には日本海溝の水深7816メートルの地点でヨミノアシロという深海魚の撮影に成功し、3台とも回収した。江戸っ子1号の基本構造は、800気圧に耐える4つのガラス球、フレーム、エサ台、オモリからなる。全長約1.5メートルの金属製のフレームに縦に固定されて、上から通信球、トランスポンダ球、照明球、撮影球が設置されている。直径33センチの撮影球は保護カバーで覆われた耐圧ガラス球でできており、内部に3Dのビデオカメラや照明器具、通信機器などの装置が組み込まれている。通信球はフレームから離れてロープでつながっている。潜水時は重りをつけて自由落下し、浮上時は支援船からの音波信号を電気信号に変えて重りを切り離し、ガラス球が受ける浮力で浮かび上がる。