海洋が持つエネルギー資源のこと。海流、波、潮汐、塩分、海水の温度差による再生可能な運動エネルギーを利用した発電方式を海洋発電(marine power または ocean power)と呼ぶ。元・佐賀大学(現:海洋温度差発電推進機構理事長)の上原春男教授が開発したウエハラサイクルでは、温度差を利用した発電システムが作られている。熱帯地域のパラオではこのシステムによる発電が行われている。海洋の表層の水は温度が高いが、深さが増すにしたがって温度は低くなる。温かい水で塩化アンモニウムをガスにしてタービンを回し、冷えたアンモニアは液体として回収され、また温められるとガスにしてタービンを回すという循環システムを作っている。沖に停泊している船に発電機を備えてこのような循環システムを作れば持続可能な電力システムが得られる。海水からエネルギーを得る方法としては、波力によるものも考えられた。国立研究開発法人海洋研究開発機構ではマイティーホエールという機器を伊勢湾で開発した。これは荒れた沖合の海を静穏な環境にするために前面波をマイティーホエールに取り込んで、陸に近い後ろの海洋の環境を穏やかにする意図で行われた。静穏な波を作ると同時に波力による発電も可能である。