昔の海水が地層の間隙などに閉じ込められたもの。海底にたまった堆積物のうち、礫(れき)や砂には空間が多く、その隙間は海水によって満たされている。その上にさらに砂や泥などがたまって海水との接触がなくなると、海水は堆積物の中に閉じ込められる。これらの堆積物が固化して石になると礫岩、砂岩や泥岩になり、さらに陸上に上がって地層になると、その中に含まれていた海水は流体のまま「化石海水」となる。化石海水には、閉じ込められた当時の海水の組成、温度などさまざまな情報が含まれる。ただし、堆積物の圧密によって大部分は外へ吐き出され、残った海水は温度や圧力の上昇により周辺の岩石などと反応してその成分は変化していくので、必ずしも堆積した当時の海水の組成や温度などをそのまま表すとは限らない。ちなみに、陸上の温泉で塩分を含んだ温泉は、その起源が化石海水であることが多い。例えば長野県の鹿塩温泉はその泉源が化石海水で、地下の温度の上昇によって温泉として湧き出している。また陸上で塩が取れる場合も、化石海水がもとになっている。