天体から放出される赤外線を観測して研究する分野。オリオン星雲に赤外線源が発見された1960年代後半から本格化し、原始星、星間塵、恒星の外周、銀河などの様子が明らかになってきた。特定の波長域では地上からも観測できるが、通常は大気圏外から行われており、83年のIRAS、95年のISO、2003年のスピッツァーなどの衛星が打ち上げられた。09年にはESA(ヨーロッパ宇宙機構)が口径3.5mのハーシェル、NASAが口径40cmのWISEを打ち上げた。日本では、1995年に宇宙科学研究所(現・宇宙航空研究開発機構)がIRTS(Infrared Telescope in Space)を打ち上げたのが最初。続いて、銀河形成領域や星・惑星形成領域の観測のため、近赤外から180μmまでの幅広い波長域を高い分解能でねらう口径68.5cm望遠鏡を搭載した「あかり」を2006年2月に打ち上げ、07年8月に観測を終了した。全天の94%をサーベイし、08年11月には赤外全天カタログが完成した。「あかり」の後継機として口径2.5m望遠鏡を搭載したSPICA(Space Infrared Telescope for Cosmology and Astrophysics)の開発が始まった。ESAと協力して、18年に打ち上げたいとしている。