太陽、地球、月が一線に並んで起こる現象。毎年各2回程度の頻度で起こる。年間25回ほど3天体は一線に並ぶが、軌道面の微妙な傾きのため、毎回日食や月食になるとは限らない。月の軌道は楕円となっているため、地球・月間の距離は変化する。その結果、皆既日食(太陽が完全に隠される日食。月が地球に近い時に起こる)になったり、金環日食(太陽の中に月が完全に入り込み、指輪のように見える日食。月が遠い時に起こる)になったりする。皆既や金環になるのは太陽と月の見かけの大きさがほとんど等しいからであるが、これは全くの偶然に過ぎない。2009年7月22日、屋久島や奄美大島を中心とした地域で皆既日食が起こった。国内で見られる次回の皆既日食は35年9月である。太陽をとりまくコロナは大変淡く、皆既日食はコロナ観測には絶好の機会だが、最近では衛星から常時観測できるようになり、太陽観測における日食の意義は低下した。日本では12年5月21日、九州から関東地方の太平洋岸を中心に金環日食が起こった。天気にも恵まれ、多くの人が観望した。また、この日食を利用して太陽半径を精密に測定する試みが行われ、696,010kmという値が得られた。公認の値は696,000kmであり、これを肯定する結果だった。16年3月9日10時から正午にかけて日本各地で20%ほど太陽が欠ける部分日食が見られた。月食は地球の影に月が入る現象で、満月の時にしか起こらない。地球大気を通過した太陽光が一部影に入り込んで月面に届くため、皆既月食時でも月がぼんやり見える。しかし、地球大気に塵埃が浮かんでいる場合には透過光が少なく、全く見えなくなることがある。日食は見える地域が極めて限られるのに対し、月食は月の見える地球半球で同時に観察できる。日本で次に皆既月食が見られるのは、18年1月31日である。