ドイツのケプラーがデンマークの天文学者ティコ・ブラーエが行った惑星の位置観測をもとに、1609~1619年ごろに見い出した惑星の運動に関する3つの法則。(1)惑星は太陽を焦点とする楕円軌道を描く(楕円の法則)、(2)太陽から惑星まで引いた直線は、等時間に等面積を描く(面積速度一定の法則)、(3)惑星の公転周期の2乗は、太陽からの平均距離の3乗に比例する(調和の法則)。まだ太陽中心説(地動説)が確立していない時代の発見であり、リアルな太陽系像を示していたため太陽中心説を補強する材料となり、やがてニュートンの万有引力の法則を生む礎となった点で大きな意義があった。コペルニクスが中世的観念に束縛されて惑星軌道を真円とし、惑星運動の説明に苦心していたのに対し、楕円軌道を導入することにより極めて簡易にかつ精確に惑星運動を説明することに成功した。面積速度一定の法則は、太陽に近いほど惑星は速く動くことを意味しており、角運動量保存則の別表現となっている。また、調和の法則により、測定の容易な惑星の公転周期から測定困難な太陽からの距離を求めることができるようになり、太陽系のスケールを決定する上で大きな貢献をした。