秋から冬にかけて良く見えるぎょしゃ座にある周期約27年の3等級の変光星。明るい上に変光の振る舞いがいささか奇妙なため、天文界の注目を集めてきた。2009年8月より減光し始めて約1等級暗くなり、11年5月に復光した。この間、60日程度の準周期的な光度変化が見られた。この星は連星で、片方の伴星の食によって減光する。減光期が2年も続くことから、伴星は太陽の数千倍ものサイズがあり、質量もそれに従って大きく、太陽の14倍ほどの質量があるのではないかと見られてきたが、1982~84年の食と今回の食の観測により、主星の質量は太陽の1.4~3.1倍ほど、伴星は6倍ほどと考えられるようになった。主星はF型星で、表面には複雑な変動が見られる。伴星はB型星で、その周囲を半径が太陽の1000倍ほど(太陽・地球間の4倍ほど)の塵雲が取り巻き、その塵円盤の周囲に半径1500倍ほどまでガスが広がっている、というのが今回の観測から得られたイメージである。2009年秋には、アメリカ・ウィルソン山天文台の干渉計により、主星の前面を隠していく塵雲のようすが捉えられている。伴星がブラックホールという説は否定された、と言える。