宇宙誕生直後のインフレーション期、時空構造に大きな変化が生じて発生したと考えられる重力波。時空構造の変化は時空の歪み、つまり重力波を生じ、その後の宇宙構造に大きな影響を与えたという仮説に基づき、2014年、ハーバード・スミソニアン天文台の研究者が、その原始重力波の影響によって生じた痕跡を見つけたと発表した。南極のダークセクター実験施設で行われた宇宙背景放射の観測結果から得た結論だったが、直後の15年1月、プランク衛星による宇宙背景放射の観測を行っているチームから、原始重力波の影響によって生じた痕跡とされた放射の偏光は銀河系内の星間塵によって生じた可能性が高く、宇宙初期の様子を示したものとは言えないという発表がなされ、原始重力波の影響は否定された。