一つの研究論文が他の研究論文のなかで引用される回数のことで、科学論文の重要性を計る物差しとして使われている、科学計量学における指標。政府関係の文書でも、日本の科学の競争力を計測することなどに用いられている。科学(当初は医学・薬学関係)の情報の収集と検索のためのシステム作りをしていたE.ガーフィールドが、科学情報一般の整理を目指す際に発案した。主要学術雑誌に掲載された各々の論文が引用される数を、年間で集計して、彼の設立した科学情報研究所(ISI Institute for Scientific Information)が1960年から発表してきた(現在はトムソン・ロイター社傘下)。その後、取り扱う領域が社会科学などに拡大され、近年では複数の被引用度のデータベースが存在する。被引用度が増え続ける論文はその領域における「重要な」論文とされる。他方で、仲間の論文を必要以上に引用したり、ライバルの論文は引用しないなど、この数値をめぐる戦略も案出されており、その信頼性は無条件には受け入れがたい。学問分野によって論文刊行総数や引用のあり方も異なるので、評価基準として独り歩きするのは危険であるが、大学の順位付けにも無批判に利用されるなど、近年その傾向が強まっている。