市民の要請に応じて、大学などの研究者が社会的な問題について科学研究を行う仕組み。サイエンス・ショップは、1970年代に、オランダのユトレヒト大学等で設置され始めた。たとえば、近隣の水の汚染の懸念などを市民が大学に持ち込み、サイエンス・ショップでその分析を行う。また、その問題に対する知識の生産もなされる。これらの分析や研究については、大学院生が博士論文の研究テーマとして取り組むこともある。現在、ヨーロッパ内に約70カ所のサイエンス・ショップがあるとされる。同様の取り組みを、アメリカではコミュニティー・ベースト・リサーチ(CBR)と呼ぶ。ヨーロッパに先行して、60年代に創設されたと言われる。その中核であるロカ研究所によれば、アメリカ国内で約50のセンターがある。日本でも、2005年から熊本大学がサイエンス・シップ型の政策研究を試み、また、07年には大阪大学や神戸大学がサイエンス・ショップを設けた(前者は09年度まで)。サイエンスショップの国際ネットワークとして、欧州主導のLiving Knowledgeが2003年に制度化された。